消防設備士試験の難易度を種類別に紹介!乙種と甲種の違いも解説

消防設備士試験の難易度を種類別に紹介!乙種と甲種の違いも解説 ビルメンテナンス

消防設備士の資格は火災から人々の命や建物を守るために必要不可欠なため、実用性の高さから幅広い年代が取得を目指しています。
しかし、簡単に取得できるほど難易度が低いわけではありません。

また、種類の多さから「どの資格を選ぶべきか」「難易度の高さはどのくらいか」と疑問を感じる方もいるでしょう。

そこで、この記事では消防設備士試験の難易度を種類別に解説します。
資格取得後に活かせるキャリアもあわせて紹介するので、消防設備士の資格取得を目指す方はぜひ参考にしてください。

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消防設備士とは

消化器

消防設備士とは消火器やスプリンクラー、火災報知器などの消防用設備の設置や点検、整備を行うための国家資格です。
消防法に基づき、これらの設備を安全に設置・維持するには有資格者の対応が必要になります。

ビルメンテナンス業界において消防設備士は、ビルメン5点セットの1つとして重視されており、設備管理の現場では需要の高い資格です。
ビルメン5点セットとは、ビルメンテナンス業界で需要のある以下の資格をいいます。

  • 消防設備士
  • 電気工事士
  • ボイラー技士
  • 冷凍機械責任者
  • 危険物取扱者

消防設備士は、火災事故を未然に防ぐ役割を担う社会的意義の高い資格で、オフィスビルやマンションなど幅広い建物で必要とされています。

 

消防設備士における資格の種類

ここでは、乙種と甲種の違いや消防設備士の資格一覧を通じて、各資格の特徴を解説します。
消防設備士の資格は複数の種類があり、業務内容や対象設備別に分類されているため、目的に合った資格種類を選ぶことが重要です。
資格の種類が知りたい方は、参考にしてください。

 

種類①:乙種と甲種の違い

消防設備士の資格は、乙種と甲種2つに分類されています。
乙種と甲種の主な違いは、以下の通りです。

乙種 甲種
業務内容 消防設備の点検・設備 消防設備の点検・設備、設計・工事の監督
区分 第1類~第7類 特類・第1類~第5類
受験資格 なし あり
合格率(令和6年度区分合計) 33.5% 29.3%

乙類と甲種の大きな違いは、消防設備の設計・工事の有無です。
乙種は初心者でも取得しやすく、初めて消防設備士を目指す方に適しています。

一方、甲種は設計や工事まで含む高度な業務が可能なため、キャリアアップを目指したい場合に取得を検討しましょう。

引用元:

 

種類②:消防設備士の資格一覧

消防設備士の資格は乙種・甲種で細かく分類されており、対象となる設備が異なります。
対象設備は、以下の通りです。

免状の種類 対象設備
甲種 特類 特殊消防用設備など
甲種又は乙種 第1類 屋内消火栓、スプリンクラーなど
第2類 泡消火設備、パッケージ型消火設備など
第3類 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備など
第4類 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備など
第5類 金属製避難はしご、救助袋、緩降機
乙種 第6類 消化器
第7類 漏電火災警報器

設備の種類によって業務種類が異なるため、ご自身が目指す業務やキャリアに合わせて取得する資格の種類を選びましょう。

引用元:
一般財団法人消防試験センター|消防設備士試験案内

 

消防設備士における資格試験の難易度

オンライン

消防設備士の資格は種類ごとに難易度が異なり、受験者の知識や経験によって合格率が変動します。
特に乙種と甲種では出題範囲や実技内容、必要な知識レベルに差があるため、受験前に特徴を把握しておくことが重要です。

ここでは、乙種と甲種の試験内容や合格率などに基づいて、それぞれの難易度について詳しく解説します。
今後、資格取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

 

難易度①:乙種

乙種の消防設備士試験は、初学者でも挑戦しやすい国家資格として人気があります。
合格率は30〜60%前後で決して易しい試験とはいえませんが、独学でも十分に合格を目指せるレベルです。

乙種は区分によって合格率が異なり、なかでも7類は60%前後と比較的高い傾向にあります。
試験科目は、以下の通りです。

  • 消防関係法令(筆記)
  • 基礎的知識(筆記)
  • 消防用設備などの構造・機能・設備(筆記)
  • 実技

なお、乙種は受験資格の制限がないため、どなたでも受験できます。

引用元:一般財団法人消防試験研究センター|試験実施状況

 

難易度②:甲種

甲種は乙種よりも難易度が高く、特に設計や工事に関する専門的な知識が求められます。
合格率は20~30%前後と低く、試験科目の範囲も甲種と比較すると広く、事前に専門書や問題集を用いた入念な対策が求められます。

試験科目は、以下の通りです。

  • 工事設備対象設備などの構造・機能・工事・設備(筆記)
  • 消防用設備等の構造・機能・工事・整備(筆記)
  • 火災および防火(筆記)
  • 消防関係法令(筆記)
  • 基礎的知識(筆記)
  • 実技

甲種の試験科目は区分によっても異なるため、対象の範囲を事前に確認しておくことが大切です。
また、甲種の試験を受ける場合は、実務経験や関連資格など一定の受験資格を満たさなければなりません。

難易度は高いですが、合格すれば業務の幅が広がるため、取得する価値は高い資格といえるでしょう。

 

消防設備士の資格が活かせる主なキャリア

消防設備士は消防用設備の整備や点検のほか、設備設計や工事監督まで幅広い業務に対応可能です。
消防設備士の資格が活かせる主なキャリアは、以下の通りです。

  • ビルメンテナンス業
  • 消防・防災関連業
  • 電気設備業

各キャリアについて解説するので、ご自身のキャリアプランに合った職業を見つけましょう。

 

キャリア①:ビルメンテナンス業

消防設備士の資格は、ビルメンテナンス業界で特に需要が高い資格です。
ビルメンテナンス業とは建物の設備管理や保守点検、維持管理を専門に行う職業であり、設備のトラブルを防ぎ、安全で快適な環境を維持する役割を担います。

ビルメンテナンス業界において消防設備士の資格は、ビルメン5点セットとして特に重視されています。
資格取得すると、大型施設や商業ビル、病院、マンションなどの管理技術者として活躍することが可能です。

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キャリア②:消防・防災関連業

消防設備士の資格は、消防や防災に関連する業界でも広く活かせます。
消防設備会社や防災機器メーカーでは、消防設備士が中心となって消防設備の設計・施工・保守管理を担当します。

また、建築物において防災設備の設置義務が法律で定められているため、定期的な点検や保守業務に従事する機会も多くあるでしょう。

消防設備士としての資格や経験を積めば、現場の管理職や技術責任者として昇進し、キャリアアップを図ることも可能です。
消防・防災に特化した技術と知識を身につけることで、業界での市場価値も高まります。

 

キャリア③:電気設備業

消防設備士の資格を取得することにより、電気設備業界での活躍も可能です。
建物における消防設備の多くは電気制御を伴うため、電気工事や設備工事の会社では、消防設備士資格保有者が重宝されます。

特に第4類(自動火災報知設備)や第7類(漏電火災警報器)などは電気設備との関連性が強く、電気設備業界での業務範囲が広がります。

電気工事士資格と消防設備士資格をあわせて取得すると幅広い現場に携われるだけでなく、設計や施工の責任者としてマネジメント業務をする機会も増えるでしょう。
電気設備業界でキャリアを積みたい方にとって、消防設備士は非常に有利な資格です。

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ビルメンテナンス業務で需要の高い消防設備士の資格

ビルメンテナンス業界で特に需要が高い消防設備士資格は、「乙種第4類(自動火災報知設備)」と「乙種第6類(消火器)」です。
乙種第4類と乙種第6類は消防用設備のなかでも設置数が多く、定期点検の機会が非常に多いためです。

資格を保有していると施設管理業務において即戦力となるため、転職や就職においても有利といえるでしょう。
また、乙種第4類は電気設備との関連性が深く、電気工事士とあわせて取得すると業務範囲が広がり、キャリアアップが期待できます。

職場や業界の要件によっても異なりますが、ビルメンテナンス業界で活躍したい方は、消防設備士資格の乙種第4類と乙種第6類の取得を検討しましょう。

 

まとめ:難易度をもとに消防設備士の資格を取得しよう

消防車

消防設備士の資格は、乙種と甲種で業務内容や難易度が異なります。
乙種は点検・整備業務が中心で比較的取得しやすい一方で、甲種は相応の実務経験を必要とし、設計や工事の監督まで行える高度な資格です。

資格取得すると、ビルメンテナンス業界だけでなく、消防・防災関連業界や電気設備業界など幅広い分野で活躍の場が広がります。
自身のキャリアプランや難易度をもとに、自分に適した消防設備士資格の取得を目指しましょう。

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