高難易度資格の建築物環境衛生管理技術者とは?活躍できる仕事も紹介

ビルメンテナンス

ビル管理関連の資格取得を考えている方の中には、建築物環境衛生管理技術者と呼ばれる資格が気になっている方もいるのではないでしょうか。
建築物環境衛生管理技術者は高難度の資格と言われており、試験の合格率も高くありません。

しかし、資格取得により市場価値の高い人材として活躍が期待できるため、まずはどの程度の難易度なのか把握しておくことが大切です。

この記事では、建築物環境衛生管理技術者の資格難易度について詳しく解説します。
難易度が高い理由や活躍できる主な仕事も紹介するので、建築物環境衛生管理技術者の資格取得を目指している方は参考にしてください。

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建築物環境衛生管理技術者とは

建築物環境衛生管理技術者は、特定建築物における衛生的環境の確保に関する法律に基づき、建物の環境衛生を維持管理する国家資格で「ビル管理士」とも呼ばれています。
法律で特定建築物別に選任が義務付けられており、安定した需要が見込める資格といえます。

具体的な業務には、以下の内容が挙げられます。

  • 管理業務計画の立案
  • 管理業務の指揮・監督
  • 環境衛生上の維持管理に必要な各種調査の実施
  • 建築物環境衛生管理基準に関する測定または検査結果の評価

デパートやオフィスビルなどで、空気環境の調整やねずみ・昆虫等の防除などの衛生管理業務全般の監督を行うのが、建築物環境衛生管理技術者の主な役割です。

建築物環境衛生管理技術者は、ビルメンテナンス業界での専門性を証明し、キャリアアップにもつながる価値の高い資格といえます。

なお、建築物環境衛生管理技術者は「ビルメン三種の神器」とも呼ばれる、ビルメンテナンス関連で特に需要の高い国家資格の1つです。
ビルメン三種の神器の資格については、以下の記事をあわせて参考にしてください。

関連記事:ビルメン三種の神器と呼ばれる資格とは?難易度や4点セットとの違いを解説

 

建築物環境衛生管理技術者の資格難易度

ここでは、建築物環境衛生管理技術者の資格難易度について解説します。
建築物環境衛生管理技術者の資格取得は試験の合格率が低いだけでなく、受験に一定の実務経験が必要となるため、難易度が高いといわれています。

合格率や受験資格について詳しく解説するので、建築物環境衛生管理技術者の取得を目指す方は参考にしてください。

 

難易度①:合格率

厚生労働省によると、建築物環境衛生管理技術者試験の合格率は、以下のとおりです。

試験実施年度 合格率
令和6年度 23.2%
令和5年度 22.1%
令和4年度 17.9%
令和3年度 17.7%

合格率はおよそ10%から20%前後で推移しており、ほかの国家資格と比較しても低い水準です。
建築物環境衛生管理技術者試験は、合格率の低さから難易度の高い資格といえるため、早い段階から勉強をはじめることが大切です。

引用元:厚生労働省|2024年「第54回建築物環境衛生管理技術者試験」の合格発表

 

難易度②:受験資格

建築物環境衛生管理技術の試験を受験するためには、原則として建築物の環境衛生上の維持管理に関する実務に2年以上従事した経験が必要です。
学力試験に合格するだけでなく実務経験を求められる点が、資格取得の難易度を高めている理由になります。

学歴によって必要な実務経験年数が短縮されるケースもありますが、実務経験自体は必須要件です。
なお、受験に必要な実務経験は、以下の用途の建築物で積む必要があります。

  • 映画館や劇場などの興行場
  • 百貨店
  • 公民館や結婚式場などの集会場
  • 図書館
  • 博物館
  • 美術館
  • ボーリング場などの遊技場
  • 店舗
  • 事務所
  • 学校(研修所を含む)
  • 旅館
  • ホテル

つまり、受験資格に該当するのは事務所や店舗、学校など、衛生環境を維持する必要性があり、かつ多数の人が利用する建物になります。

また、上記の建築物以外にも共同住宅や老人ホームなどの建物も対象です。
実務経験となる建築物か該当するかわからない場合は、日本建築衛生管理教育センターの国家試験課に問い合わせてみるとよいでしょう。

引用元:公益財団法人 日本建築衛生管理教育センター|国家試験情報

 

建築物環境衛生管理技術者の資格難易度が高い理由

建築物環境衛生管理技術者の資格難易度が高いと言われる主な理由は、以下の3つです。

  1. 各科目で40%以上の得点が必要になるため
  2. 試験範囲が広いため
  3. 実務経験を要するため

それぞれ見ていきましょう。

 

理由①:各科目で40%以上の得点が必要になるため

建築物環境衛生管理技術者試験の難易度が高い理由は、科目別に合格基準点が設けられているためです。
合格基準を満たすには、全科目の総合点数の65%以上をクリアし、かつ試験科目となる7科目すべてで、40%以上の得点を取らなければなりません。

例えば、1科目でも得点率が40%未満だった場合、ほかの科目で高い点数を取っており、総合得点が合格基準を大きく上回っていたとしても合格となってしまいます。
そのため、受験者はすべての科目をバランス良く学習し、極端な苦手分野を作らないように対策を進める必要があります。

建築物環境衛生管理技術者における試験の学習方法には、ハローワークの職業訓練や公的な職業支援機構などの資格取得支援を活用するのも手段の1つです。

 

理由②:試験範囲が広いため

建築物環境衛生管理技術者の試験は、以下7つの科目で構成されています。

  1. 建築物衛生行政概論
  2. 建築物の構造概論
  3. 空気環境の調整
  4. 給水及び排水の管理
  5. 清掃
  6. 廃棄物の処理
  7. ねずみ、昆虫等の防除

具体的には、建築物の基本的な構造や空調設備の仕組みと管理、さまざまな場所や汚れに応じた清掃方法など、多岐にわたる学習が必要です。
建築物環境衛生管理技術者の試験では多種多様な知識を網羅的に学ばなければならないため、資格取得の難易度が高くなっています。

 

理由③:実務経験を要するため

建築物環境衛生管理技術者試験を受験するためには、建築物の環境衛生上の維持管理に関する実務に2年以上従事しなければなりません。
実務経験が必要なことが受験のハードルを高くしており、資格取得の難易度を上げています。

実務経験がない方は、まずビルメンテナンス会社などに就職し、空気環境測定や貯水槽清掃、害虫駆除といった指定された業務に一定期間従事する必要があります。

なお、実務経験の証明には、事業主の印鑑が必要です。
建築物環境衛生管理技術者となるビル管理士の実務経験の詳細について知りたい方は、以下の記事をあわせて参考にしてください。

関連記事:ビル管理士の資格は実務経験なしで受験可能?証明書記載時の注意点も解説

 

建築物環境衛生管理技術者が活躍できる主な仕事

建築物環境衛生管理技術者が活躍できる主な仕事は、以下の3つです。

  1. ビルメンテナンス
  2. ビル設計管理
  3. ビルマネジメント

資格取得後のキャリアについて検討中の方は、参考にしてください。

 

仕事①:ビルメンテナンス

ビルメンテナンスは、建物の清掃、空気環境の測定・調整、給排水設備の管理、害虫駆除など、建物の環境衛生を維持するための業務です。
建築物環境衛生管理技術者の専門領域であるため、資格保有者は業務を計画・監督する立場として、専門的な知識とスキルを発揮できます。

特定建築物では選任義務があるため、現場の責任者としての役割を期待されることが多数です。
ビルメンテナンスの現場は資格で得た知識を実践し、建物の衛生環境を直接的に守る最前線として活躍できます。

 

仕事②:ビル設備管理

ビル設備管理は、電気や空調、給排水など、建物全体の設備を維持管理する仕事です。
ビルメンテナンス業者が管理する、警備・清掃・設備管理のうち、設備管理を請け負います。

ビルメンテナンスよりも専門的な仕事になるため、施設内すべての設備の維持管理に努めなければなりません。

主な仕事内容は、以下の通りです。

  • 清掃
  • 施設巡回
  • メンテナンス
  • 壊れた設備の修繕
  • 設備の点検、動作確認

建築物環境衛生管理技術者は設備管理の専門知識に加えて衛生管理の視点を持つことで、付加価値の高い設備管理技術者として活躍できます。

 

仕事③:ビルマネジメント

ビルマネジメントは施設を総合的に運営管理する業務で、営業活動や建物のメンテナンス、収益の確保など建物の運営全般を統括する役割を担います。

前述したビルメンテナンスは保守・点検業務が中心ですが、ビルマネジメントが担うのは、ビルの運用に必要な全ての管理業務です。
そのため、ビルメンテナンスはビルマネジメントの一部でもあります。

ビルマネジメントの具体的な業務には、以下のものが挙げられます。

  • 建物・敷地内の清掃
  • 植栽整備などによる景観の保全
  • 建物内および敷地内の巡回・警備
  • 敷地内に設置された消防設備の点検・管理
  • 建物に設置されたボイラーや電気、水道などの設備の点検・管理

快適で安全な建物環境の維持は、テナント満足度や建物の評価に直結するため、環境衛生に関する専門知識が重要です。
建築物環境衛生管理技術者の知識は建物運営全般に貢献できるため、ビルマネジメントというキャリアパスにおいても強みとなります。

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まとめ:高難易度の建築物環境衛生管理技術者を取得してキャリアの幅を広げよう

建築物環境衛生管理技術者は2年の実務経験を積む必要があり、取得難易度が高い資格です。
難易度は高いものの、取得するとビル管理に関する幅広い業務に携われます。
試験合格を目指すためには、早い段階からの学習が重要です。

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